らすたちゃん

新宿に住んでる20代ダメ女の日々です。たまにレビューとかも。

『青空のルーレット』という最高の青春小説を読みやがれ!

はーい、内気なモラトリアム共!たのしいブックレビューのお時間よ。

ブックファースト新宿店に寄ると、いつもかならず、マジでかならず青春小説が読みたくなるのよね。
『青空のルーレット』みたいな。

理由はこの間本読みながらも注意して店内を観察していたら気づいたわ。
「流れているピアノのBGMがめっちゃ合う」のよ。今度機会があったら聞いてみて頂戴。えへへ。
まぁ、それは置いておいて!
今日はそんな店内BGMがいつの間にか軍歌に切り替わっても気づかないほどに夢中になれちゃうきらきらまばゆい青春小説、『青空のルーレット』について、その魅力をご紹介するわね。

【書籍情報】
『青空のルーレット』
辻内智貴
2004年 光文社出版(文庫版)
太宰治賞受賞作『多輝子ちゃん』も収録)

【ストーリー紹介】
青空の下、ビルのてっぺんから釣り下がり窓を拭く人達を、見たことがあるかしら?
これは、そんな窓拭きという仕事に就きながらも、各々の夢を追い続ける男達の熱い友情ストーリーなの。
音 楽をやりたいという主人公の視点で物語は進むけれど、そこには主人公と異なれど同じひたむきさで夢にむかって走り続ける人達の姿が描かれているわ。怪我や 上司との衝突等、時に不条理とも取れる苦悩を味わいながら物語の盛り上がりに伴って大きな苦境に立たされる彼らだけれど、「夢を見る」という生き方の尊さ と切なさを、読み手に強く訴えかけてくる作品よ。

【名場面抜粋】

「人間はな」
岸野の肩越しに奥田を見据えて、萩原さんは言った。
「夢を見るから、人間なんだっ」そう言った。
「夢を叶える事よりも、夢を見ることで、人間は人間になれるんだっ、お前なんかに分かってたまるかっ」
震える声で、萩原さんは言った。
』(p.85より)
殆ど著者の主張がここに集約されていると思う箇所ね。

【所感】
実はこれ、読んだことあるって人も多いのじゃないかしらと思うわ。というのも、わたしが初めてこれを目にしたのは高3の時受けた駿台かどこか主催の模試の問題文だった気がするもの(うわ年がバレる!!!)
ス トーリーにギミックや鮮やかな伏線があるわけでも、登場人物のキャラ立ちが甚だしいというわけでもないんだけど、何度も読み返して畳をゴロゴロして「ア アァァァイイイィィィ!!」とのたうち回りたくなる、文句なしの傑作だと思うわ。ぶっちゃけると、この小説内で彼らの夢がどうこうなって叶ったり叶わな かったりという点は、細かく明記されてはいないわけ。この物語に於いてもっとも描かれているのは、「夢を見る」=「生きる」という、【名場面抜粋】でも 堂々明記されている命題そのものなのよね。
作者の辻内本人が、無名のシンガーソングライターとしての時代を経て小説を書くに至ったという、彼自身 の骨肉を絞って生まれた物語だということが大きく影響しているように思うわ。彼自身の「夢」に対するロマンと憧れが、みずみずしく心を打つ物語を紡いだと いうことでしょうね。

本作からは逸れるけれど、同時に収録されている『多輝子ちゃん』も馬鹿みたいに素敵なお話よ。
辻内の作品はどれもキーとなる一文でドカンと胸を射抜かれるような衝撃を受けるけれど、この作品も同様。
多くは語りませんが、一読をお勧めするわ。
あと・・・どうでもいいけどこの本の書籍情報を調べるにあたって、amazonのレビューをいくつか読んだのよね。
書いてらっしゃる皆様方の文章能力が高すぎてちょっと引いたわよね。
こんなみそっっっっかすなレビューをnoteの挙げてる女もいるってのによ。やだー、救いがないわ(笑)
・・・さ、誰も否定してくれない自虐にらすたおねえさんの尻がちょっぴり燃えたところで、今日はおしまいっ★
おねえさんのおすすめは絶★対だから、みんなちゃんとよむのだゾ??
じゃあ、またねーん♪